いつも聞こえる彼女の声は聞こえない。 いま聞こえるはずであろう彼女の嗚咽は、雨音が全て飲み込んでいて。 良かったと思った。 雨が降って無かったらきっと身体が勝手に動いてた。 抱き締めて、 唇を塞いで、 その目に俺を映させて、 好きだ、と囁いただろうから。 残念な事に、俺は『スキ』を自覚したと同時に『シツレン』まで経験してしまったらしい。