その声でいつか



じゃあな、って言って頭を撫でた伊川柚杞が彼女に背を向け、彼女は笑って送りだす。


馬鹿じゃねぇの。

大して好きでもねぇくせにそんな風に触んなよ。

彼女も、気付くだろ普通。

変だなとか思わねぇの?

恋は盲目ってやつ?
すでに事実は致命傷だってゆうのに?



……イライラする。



伊川柚杞の姿が見えなくなって、彼女に全部バラしてやろうって一歩足を踏み出した。


全部バラしてやろうって、

そう、思って。