それ以来、図書室に足を運んだら放課後まで窓を開けて待つようになった。 その出窓の縁に座ると、 彼女の顔はよく見えた。 『…なにやってんだ、俺』 今日も2人の姿が見えなくなってから呟く。 あの女を見てなにがしたい訳じゃない。 今まで目が合ったことも無ければ、俺の存在を気づかれたこともない。 彼女はいつも“ユキ”だけを見ているから。