授業の終わりを告げるチャイム。途端に騒ぎだすクラスの男子。
そんな光景を見て、私もほっとため息をついた。さっき終わった授業は、熱血で怖いと有名の白肌デブ平井先生(通称たまご)の理科。あの先生はクラス全員に答えさせるから嫌いだ。はあ、と安心のため息をもう一回つくと、
「夕子っ!なーにため息ついてんのっ?」
っと頭上からキンキンした声がした。奈緒だ。
「いーや、別にぃ?」
「ふーん、恋煩い?もうそういう年なんだねえ、夕子ちゃんもー」
んな事言ってない。変ににやにやして、さぐるような言い方で奈緒は言う。そんな人いないっての。
「ま、その話は後々ね!ほら、次は体育だよ!遅れるとカミナリとんでくるぞー?」
そう、ごまかすと奈緒はちぇっと舌打ちをして、体育着に着替え始めた。遅いよ。
奈緒はむかしっから、何かあるごとにまとめ役で皆に頼られていた。そして、運動神経も抜群。駅伝大会に毎年選ばれるほどだ。
かという私は、勉強は少しは出来るけど暗くって運動は苦手で、人見知り。まあ、要するに「陰キャラ」だ。ああ、自分で言ってて悲しくなってきた。そのままネガティブ思考に陥っていると、心配したように奈緒が聞く。
「夕子?大丈夫?具合でも悪いの?体育休む?」
・・・・・余計な心配をかけてしまったようだ。
「ううん、大丈夫!ほら、早く行こ!」