「久美の職員採用試験はダメだった。ところが後になって、不正で採用された職員がいるということを、久美は知ったんだ」
「どうして、不正のことを知ったの? 」
恭子は、興味深く聞いた。
「採用された者の中に、久美と知り合いの人間がいたんだ。その時、久美は疑問に思ったらしい。寝る時間もないほど勉強した自分と、遊び呆けて、ろくに勉強もしていない人間が、なぜ採用されたのかって・・・」
松山の持っているタバコの灰が落ちる。
「久美は、何か不正があったんじゃないかと思って調べ始めた。俺にも、そのことを記者として調べてほしいと言ってきた。でも、その頃の俺は、ある大きな詐欺事件を追っていて、妹のことなんか気にもとめなかった・・・」
突然、松山が厳しい表情をした。
それは、やりきれない思いにも見える。
「今となっては、俺は後悔している。久美を守ってやれなかったことが・・・」
松山は、熱さを感じることなく、吸いかけのタバコを右手で握り潰した。
「どうして、不正のことを知ったの? 」
恭子は、興味深く聞いた。
「採用された者の中に、久美と知り合いの人間がいたんだ。その時、久美は疑問に思ったらしい。寝る時間もないほど勉強した自分と、遊び呆けて、ろくに勉強もしていない人間が、なぜ採用されたのかって・・・」
松山の持っているタバコの灰が落ちる。
「久美は、何か不正があったんじゃないかと思って調べ始めた。俺にも、そのことを記者として調べてほしいと言ってきた。でも、その頃の俺は、ある大きな詐欺事件を追っていて、妹のことなんか気にもとめなかった・・・」
突然、松山が厳しい表情をした。
それは、やりきれない思いにも見える。
「今となっては、俺は後悔している。久美を守ってやれなかったことが・・・」
松山は、熱さを感じることなく、吸いかけのタバコを右手で握り潰した。

