謝罪人 Kyouko

島田が帰った後、恭子は部屋で謝罪会見の段取りを考えていた。

ノートパソコンのインターネットで四角市を調べた。

四角市は、人口七万人の小さな町だった。
ここ最近、さまざまな企業が進出して工場地帯になっている。

その企業誘致を成功させたのは、島田だった。
島田は、小さな町ながら、海に近い交通の利便性などを理由に積極的に誘致活動をした。

地元では、島田のことを『神の島田』とも言われている。

しかし、現職の助役が企業誘致に関して、ある企業から賄賂(わいろ)を受け取ったことで逮捕された。

現職の助役の逮捕は、市民に大きな波紋を呼んだ。

そして、市長に対しても賄賂を受け取っている疑惑が浮かんだ。

島田は、きっぱりと賄賂など受け取っていないと否定した。
だが、市民の中には疑いを持ち続ける者もいる。