エレベターの中に入ると、中居が29の番号を押した。

「番号が違いますけど・・・? 」
恭子が、自分の客室と違う番号を押したことを尋ねた。

「先に行くところがあります」
中居が静かに答えた。

「どこに? 」

「もうじき、わかります」

エレベターが29階に着いた。

扉が開いた。
中居が先にエレベターを降りた。
その後を恭子が続く。

中居は、向かう場所がわかるように、迷うことなく歩いて部屋の前に来た。

客室番号は、2911だった。

中居は、内ポケットからカードキーを取り出し、ドアに差し込んだ。

ドアが開く。

「失礼します」
客室の中に誰がいる様子で、中居は挨拶をする。
その後、恭子も中に入った。