「じゃあ俺そろそろ帰るな」

そう言って山岸君はカバンを肩にかけた。

「あっ、玄関まで送るよ」

私は近くにあったカーディガンを羽織りながら立った。

うん。もうふらつかない。


「えっ、でも……」

「大丈夫だよ。玄関までなんだから」

私は笑顔で山岸君にそう言い、一緒に部屋から出た。

廊下を二人で歩いてると山岸君が話し掛けてきた。


「あのさ、俺きのう変なこと言わなかった?」

「言ってないよ?」

私にとっては変なことじゃないから。