「入学したての頃、澤村よく告白されてただろ?」
「うん」
「それで俺はたまたまその現場に通りかかったわけ」
そこで山岸君は一度言葉を切る。
入学したての頃。
告白現場。
通りかかる。
その三つのキーワードをヒントに考えていくと、一つ、ある記憶が蘇ってきた。
「もしかして……音楽室?」
違っていてほしいと願いながらそう言うと……山岸君は正解、と小さな声でこたえた。
「あれには本当びっくりしたよ。告白されてした返事が“用はそれだけ? じゃあもういいよね”だもん」
山岸君はそのときのことを思い出したのかクスクス笑い出した。


