私が両親の話をするとだいたいの人が可哀相だと言った。
私はその言葉を聞くのが嫌だ。
それなりに毎日を楽しく過ごしてるし、私は別に可哀相なんかじゃない。
なにより私は“可哀相”という言葉が大嫌いだ。
“可哀相”という言葉は自分の幸せと他人の幸せを比べたときに出てくる言葉だから。
だけど……山岸君はそんなこと一言もいわなかった。
もちろん、それはただの偶然かもしれないけれど。
中途半端な同情ばかり向けられてきた私にとっては、偶然だとしても山岸君の言葉は居心地の良いものだった。
「んー…だけど熱あるのに一人は困ったな」
そんなことを考えている私をよそに山岸君は腕組みをして考え込んでしまっていた。


