山岸君はポカンと私を見たあと。
「そっか……」
少し俯き加減にそう呟いた。
……山岸はどう思ったのかな? このあと何て言うつもりなのかな?
人を試すとき独特の緊張感と期待感が、熱と合わさって体の中で暴れている。
私はその全てを押し隠して山岸君を見つめた。
「じゃあもう一年半くらい一人暮らしなわけ?」
だけどパッと顔をあげた山岸君が発した言葉は、私が予測していたものとは全然違ったものだった。
「う、うん……」
「料理とか掃除とかどうしてんの?」
「適当に自分でしてるけど……」
「すごいな! 澤村はいい奥さんになりそうだな!」
そう言って私の頭を撫でてくれる山岸君に、なぜだか無性に涙がでそうになった。