山岸君は銀色のボールをサイドテーブルの上においた。
中には水と氷が入っている。
「本当は洗面器とかのほうがいいんだけど……さすがに風呂場には入れなくてさ」
そう言いながらさっきまで私のおでこに乗っていたタオルを入れた。
「気にしなくてもいいのに……」
「いや、やっぱ人の家だし……それよりちゃんと寝とけよ」
私は素直にそれに従ってベッドの上に寝転んだ。
「よし! じゃあタオル乗せるぞ? 最初は結構冷たいけど我慢してな」
ボールからタオルを取り出してギュッと絞る。
乗せられたタオルはやっぱりかなり冷たい。
だけどそれと同時に、なぜだか心の奥が暖かくなっていくように感じた。