ドキドキの恋人 ー不倫ってときめくー

「1人で大丈夫だよな?」


渡邊部長が止めたタクシーのシートに1人で座る私。


「大丈夫です。」

「送って行けないけど…。」

「……。」

「また、連絡するから。」

「はい……。」

「じゃあな。」


渡邊部長はそう言うと、私の膝に何か投げてよこした。


拾い上げると、それは一万円札だった。

閉まるドアの外、渡邊部長は歩きだしていた。


もう、見送ってはくれないんだ。


タクシー代渡したら直ぐにバイバイ。


急いで帰る部長。



これが『愛人』なんだ。