あの人なら
あたしの話信じてくれるかも。
あたしは
館長さんと話したいと思った。
入り口のほうから
「あーもう先に帰っていいからね」
と館長さんの声が聞こえて
またこっちにゆっくり歩いてきた。
「お待たせしました」
「寒くはないですか?」
「いいえ。大丈夫です」
「ホホ小柳さんに会えるとは・・
小学生の時以来ですね」
「すみません。あまり
覚えていなくって」
「小学生の頃、展覧会で
ご挨拶した以来ですから
無理もない。ホホホ」
館長さんは隣の椅子に腰掛けて
お互い、あたしの絵を見上げて
話し始めた。
「それで、魔法使いというのは?」
あたしは、すべてを話そうと思った。
