緑ノ刹那

『幸せ?
何言ってるのさ。
そんなもの、在るわけ無いだろ。
せっかく君を傷つけない様にしていたのに。
もう飽きた。
君を、傷つけて、傷つけて、僕に縋っていなければ生きていけない様にしてあげる』


狂気の、笑み。


しかし、それは次の瞬間全く違う物に変わる。


『…違う。
こんな事を望んだんじゃない。
約束が違うぞ!!』


ディーンのその言葉に、フィリアはハッと目を見開いた。


『約束?
どういう事!?
ファイ、貴方は魔族と契約したの!?』


『そうだ。
僕は、君を救いたかった。
そのためには、力が必要だったんだ。

でも、転生したこの身には、もう魔力が無い。
だから、魔族と契約した』


またもやディーンの表情が変わる。


『馬鹿な奴だ。
誰が人間などとの契約を守るか。

――だが、お前は気に入った。
このままこの身を借りてお前を俺の物にしよう』


フィリアは痛ましげに顔を歪めた。


恐らく、今喋っているのはファイが契約したという魔族だろう。

ファイと魔族、それらは半分以上同化してしまっている。


『どうする、俺を殺すか?
だが、そうすればこの男も死ぬ事になる。
お優しい"緑王"に、そんな真似ができるか?』


――そう、殺すのは簡単なのだ。
ファイの事を、考えなければ。



(以前、クレイといた時もこんな事があった。でも――)

魔族だけを殺す事は不可能なのだ。