緑ノ刹那

『……何故?』


ディーンの顔から段々と表情が消えていくのがわかったが、フィリアは構わず言葉を繋いだ。


『私は、クレイに救われてた。
彼がいたから、私はこうしてここにいて、笑ってられるの。


名前を呼んでくれた

森から連れ出してくれた

――そして、最後に笑ってくれた。



クレイがいたから、みんなに会えた。
私は、クレイに、本当に感謝してる。


だから、貴方とは行けない』



『―――』


ディーンが黙り込む。


わかってくれた。

そう思って、フィリアはそっとディーンに近づいた。


『お願い。
貴方は"ディーン"として生きて。
貴方には、幸せになって欲しいの』



『……甘いよ、フィリア』



その言葉と同時に


フィリアを


ドンッという衝撃が襲った。




躯の中心に、ディーンの槍が深々と刺さっている。


並の人間ならば死んでいる様な深手だった。

思わずうずくまるフィリアを見下ろして、ディーンは冷たい目で語った。


『もういい』