広場の中央、周りが見守る中、勝負は始まった。




先手必勝、とばかりにバルドがフィリアに突っ込んでいく。

フィリアは避ける事無く、剣を合わせた。


もちろん、お互いに刃を潰してある。
しかし、そんな事も忘れる程、二人の争いは激しかった。


『どうした、その程度か!?』


バルドが合間に叫んだ。


『だとしたらがっかりだぞ、フィリ』


その、台詞にも


フィリアは笑った。



凄絶に。




急に、フィリアの力が強くなる。
バルドが、段々と圧されてきている――

それが、周りの者にも伝わりだした時、それは起きた。



フィリアが、勢い良く跳ねてバルドとの間合いをはかった。

バルドは、警戒して動けない。


『あなたの実力、この程度?
だとしたら、がっかりね。
久しぶりに、楽しい遊びが出来ると思ってたのに』


バルドと同じで、けれども違う言葉。

そして、垣間見える傲慢な精神。

バルドだけではなく、周り全てに鳥肌がたつ程に

恐ろしい。



――それはまさに、何者にも侵されぬ、神のもの






それからは、一瞬だった。

気が付いたらバルドが倒れていて、フィリアは悠々と立っている。

バルドが負けたと理解するまで、リーフには少し時間がかかった。