フィリアに助けられた少年、リーフは、目を覚ました途端、今の状況にギョッとした。

知らない景色、知らない家。

自分がどこにいるのかもわからない。

(取りあえず、ここから出よう)

そう思って、簡素な木造の家から出ると。

綺麗な声―――いや、歌が聞こえてきた。

(誰かが歌ってる――)

歌を頼りに木々をかきわけて進む。
一度も聞いたことが無いはずなのに、何故だか胸が締め付けられるような気持ちになった。

早く、早く―――

焦りにも似た想いに、リーフ自身戸惑うが、それでも足は止まらない。

ひときわ大きな茂みをかきわけると。

突然、視界がひらけた。

あたり一面何もない草原が広がっており、その中心に、今までリーフが見たどんな木よりも大きな木が、ぽつんと立っている。


そして、その根元に。