早朝、相も変わらず4人で宿を出る。
ヨナは占い師だそうで、これから先、城で待ち受けている事を占うと言ってくれた。


『…占い?』
"占いというモノ"を知らないフィリアは首を傾げるばかりだったが、そこはバルドがわかりやすく説明した。


『…どれ、まずはリーフ様から視てみようか』


そう言って、ヨナは目を細めた。


数秒の間の後、ふぅっと息を吐く。


『――リーフ様は、城で予想外の事に出会うでしょう。
そして、全ての真実を知る。』



『真実…?』


リーフは訝しげだった。
そんな彼に、ヨナはなおも言う。


『そう。
それは、悲しみを伴うもの。
けれど、どうしても越えなければならない壁』


『どういう事?』


尋ねたリーフに、ヨナは心苦しそうに首を振った。


『言えぬのです。
そのように、約束したのですよ。
それに、運命は切り拓くもの。
占いは道標に過ぎないのです』


次に、バルドの方を向く。

『お前は、動くことの出来ない沼へと身を沈める。
心して日々を過ごせ。
しかし、そののち良き剣の好敵手に出会えるだろう』


『ディーンは、暗闇へと行くことになるが、それは真の闇では無い。
お前は赦され、そして幸せを知る』


『――そして、フィリは、記憶を取り戻す。
しかしそれには、この場の四人が必要不可欠。
思い出すと同時に、貴女も全てを知る。
それは、貴女にとっての光であり闇であるでしょう』


全ての占いが終わり、ヨナは息をついた。


宿の中は静寂に包まれ、誰もが身動きさえしない。