緑ノ刹那

部屋に入ると、そこは酷い惨状だった。


硝子の所々にヒビがはいり、調度品は倒れている。



フィリアは部屋の中心にうずくまっていた。




『フィリア!!』


リーフが近寄ろうとすると、サヤが行く手を塞ぐ。


『何するんだ!!』


『五月蝿い。
お前は近づくな』


そうこうしている間に、レイがフィリアに駆け寄った。


『フィリア…』


『……っ
……レ、イ…………』


ボキボキッ、と音がする。
フィリアの骨が伸びる音だった。


急激な体の変化に、フィリアが遂に崩れ落ちた。

慌ててレイがそれを支えるが、フィリアは少し手が触れた程度でも苦痛の声を漏らした。



『いい加減どいてくれ、サヤ!!』


『駄目だ』


『なん…』


『邪魔なんだよ、お前がいたら』


レイが口をはさむ。
リーフはカッとなった。


『邪魔だって!?』


『そうだ。
今俺にはお前の面倒を見る余裕がない。
大体、お前に何が出来るっていうんだ?』


リーフは押し黙った。

サヤがそっとリーフを外に連れ出した。