緑ノ刹那

リーフは言葉を失った。

何もかもが初めて聞いた事ばかりだ。


ただ、リーフには1つ気になる事があった。


『フィリアは自分で力を封印して、今の姿になったんだろ?
じゃあシキがフィリアの姿を元に戻せるのか?』


その問いに答えたのはレイだった。


『出来ない訳じゃない。
だがそれは…………』






レイの台詞は中途半端に終わった。





耳をつんざく様な悲鳴が、聞こえたからだ。



それは恐らくリーフが初めて聞いた、苦痛にまみれたフィリアの声。






レイとサヤは顔を見合わせ、部屋に向かう。

リーフも状況が分からないながらも、急いで後に続いた。










部屋の扉の前には、シキが1人で立っていた。


『シキ……フィリアの封印を解いたのか!?』


未だにフィリアの悲鳴は途切れる事無く続いている。

そんな中、平然とした様子でシキはレイの質問に答えた。


『ああ。勿論だよ』




その様子に、レイは顔色を変え、舌打ちして部屋に入った。

サヤとリーフも続いて入る。



リーフが気になってチラリと後ろを振り返ると、シキはもう消えていた。




未だ、フィリアの苦痛の声は止んでいなかった。