緑ノ刹那

サヤは尚も続ける。


『住んでいた土地に人間が押し寄せて、私達を攻撃した。
その時気づいたんだ。

――私達は死ねない。
……まぁ、私だけはまた少し違うんだが、今はいいだろう』


『そうだね。
えっと、どこまで話したんだ?
………まぁとりあえず、俺達は死ねなかった。
心臓を槍で刺されても、火炙りにされても、全身を切り刻まれても、死ななかった。
俺達は怖かった。
死ねない事が。
急いでシキの所に行ったよ。
シキも知らなかったらしくて、仕方ないから神を探して、俺達魔王はいろんな所をさまよった』


『そうして十年かけてやっと見つけた神に聞いた。
何故、死ねないのか。

帰ってきた答えは簡単だったよ。
世界が、死なないからだ』


『私達は世界の力そのもの。
世界が滅びる時にしか、消滅は有り得ない。

みんな嘆いたさ。
でも、真実はもっと残酷だった。

わかるか?
順番があるんだ』


そう言ったレイの顔は、憎しみに歪んでいたのに、泣きそうだった。


『まず、最初に"紅の魔王"。
次に、"蒼の魔王"。
それから"白の魔王"
"黄の魔王"が死んで、最後に"緑の魔王"が死ぬ。

全部、決まってるんだ。
世界から、まず熱が消え、そのうち寒さも消える。
風が無くなり、大地は崩壊して――生命が死に絶えるだけだ。

……簡単だろ?』