緑ノ刹那

レイが静かに語り出す。


『まず初めに、神は世界を造り上げた。
そして、そこに命を誕生させた。
そこまですると、神は自分から力の一部を切り離して、一つの意識を造った。
――それがシキだ。

そして、この世界の、初めての命……それが、フィリア。
彼女は一番最初に産まれ、一番最後に死ぬ運命にある』


その後をサヤが引き継いだ。


『フィリアは唯一の生命。
シキはフィリアを慈しみ、そして愛した。
孤独なフィリアの為に、当時から存在していた火、土などからそれぞれフィリアに似せた生命を造り、それを話し相手とした。
それが、私達。』


レイとサヤは交互に喋っていく。


『そうしていくうちに、フィリアや俺達は力に気づいた。
世界が俺達を守ってるんじゃない。
俺達が世界を守ってるんだ、ってな。
皮肉なものだよな。
シキが俺達を造ったせいで、もうこの世界には力の欠片も無くなった。
だから俺達がいなければ、世界は滅びるんだ。
……まぁ、その話はどうでもいいんだ。
そのうちフィリアの力にあてられて、木々が生え、いつの間にか、お前たち人間が産まれてて、どんどん人口が増えて、やれ戦いだ、戦争だって騒ぎ出して、今の様になった』


『段々私達は住みにくくなった。
人間は異質なモノを嫌うからな。
だから私達はそれぞれ散って、ひっそりと生きていた。
だが、たまにいるんだよ。
私達の存在に気づく奴らが』


サヤの瞳に憎しみが宿り、リーフは肌が粟立った。