緑ノ刹那

途端にフィリアに緊張がはしる。

しかし、リーフは違った。
フィリアを安心させるように笑うと、声のした方に導いた。


『大丈夫。
あの声はたぶん…

…やっぱり!!』


進んだ先には四十代程だろう、騎士の格好をした男が立っていた。
リーフは彼を見て満面の笑顔になった。
フィリアに紹介する。


『この人は僕の叔父さんのバルド。
王立騎士団の総大将なんだ。
バルド、こっちは僕を助けてくれたフィリだよ』


リーフの言葉にフィリアとバルドは互いに警戒を解いた。






『心配したんだぞリーフ。
いくら結婚が嫌だからといって、なにも逃げ出すことは無いだろう』

話をするため、一度フィリアの家に向かい、ひとごこちついた一同は、とりあえず互いに状況を説明し合った。


それによると、バルドはリーフがいなくなった後、王から命を受け、リーフをここまで迎えに来たらしい。


『何でここに僕がいるってわかったの?』
とリーフが純粋な疑問をぶつけると、

『川を辿っていけば誰でもわかるだろう』
と呆れられた。


リーフも、フィリアに助けられたこと、フィリアについて、フィリアに恋人のフリをしてもらうことなど、バルドには全て話した。