緑ノ刹那

話は、数時間前にさかのぼる。








『ねぇリーフ。
私今日行かなきゃいけない所があるから、仕事はリーフ1人でしてね。
サボっちゃ駄目よ?』


『え!?』


王となり、政務を行わなければならなくなったリーフは、フィリアに政務の半分を手伝ってもらっている。

他にも、何かしらの講義を受けたり、武術の訓練をしてもらったり。



要は、フィリアに頼りきりだったのだ。



『行かなきゃいけない所って?』


『…と言うか、デート………?
約束があって。
だから、もう行くね』


『デート!?』


リーフは素っ頓狂な声をあげた。
フィリアはもう立ち去っている。



確かに、今日のフィリアはおめかししていた。


淡い緑のワンピースに、それに合わせた華奢な緑の靴。
薄く化粧もしていた程だ。

まぁ、大方フィリア付きのメイド達が嬉々としてやった事なのだろうが。




(それにしたって……)

リーフはフィリアに、好きだと思いを告げている。

そんな自分に対して、その言葉はあんまりだろう。



(大体、一体誰だよその相手は!!)

自分に喧嘩を売っているとしか思えない。






フィリアには、仕事をサボるなと言われた。

だか――



フィリアにデートを申し込んだのは誰なのか。

このままでは気になって仕事も手につかない。


それに―――

いつもは謎に包まれて、誰も知らないフィリアの日常―――


リーフは大いに興味があった。