緑ノ刹那

『城?
城って王様が居るところよね?
リーフは王様なの?』


(あぁ…言っちゃった…)
純粋なフィリアの疑問に思わずリーフは内心ため息をついた。


(仕方ない。全部言っちゃおう。いっそフィリに"協力"してもらえばいいかもしれない)
開き直ったリーフはフィリアに全てを告げた。


『僕は本当はリョクラ王国の王子なんだ。
親に―王様なんだけど―無理矢理お見合いさせられそうになって、逃げてるうちに足をすべらせて川に落ちて、ここに流れ着いた。

…それで、頼みがあるんだ。』



『なあに?』

小首を傾げるフィリアに向かって、頭を下げる。



『僕の恋人のフリをして欲しいんだ』

『いいよ』



すぐに返ってきた答えに、
(…もう少し悩んでもよくないか!?)
と切ないオトコ心では思ったが、そこは目をつぶる。



『本当!?
じゃあ早速城に向かおう!!』


そう、早くしないと手遅れになってしまう。

自分の親が本人のいない間に何をしだすか、予想はついていた。


そこまで考えて、リーフは思った。


『ここ…ドコ?』


(王都から離れてたらとんでもない事になる!)


『ここは"緑の森"よ』


その答えを聞いて、リーフは本当に安心した。

"緑の森"なら、王都まで半日で着く。


『じゃあ、明日出発しようか』

そう言おうとした時。


『リーフ!!いるのか!?』

森に、誰かの大声が響き渡った。