緑ノ刹那

リーフがその液体を飲んだのを見届けて、フィリアは唇を離した。


そこから、真っ赤な血が一筋流れる。




リーフはあまりの事態に顔を赤らめながらも、フィリアを問い質した。
動揺で、言葉が震える。


『な…今のは、何を……』


『契約したのよ。
見てわからない?
貴方が飲んだのは私の血。
これで、貴方は私の主となった』


平然と答えたフィリアは、呆然と固まっていた残りの者達を振り返る。

その時初めてリーフはさっきの光景をバルド達に見られていた事に気づいた。


『貴方達も、異存はないのでしょう?
どちらにしろ、リーフはこの国の王なのだから。

むしろ、私の力が手に入って喜んでいる。
…違う?』


前王、大臣、神官長が押し黙る。

リーフはその様子にイラっとした。



それに気づいたのか、フィリアがバルドの袖を引き、リーフを見る。


『私はバルドに話があるの。
貴方はそこの、どうしようもない狸オヤジ達と城の中に戻っていて』


『フィリ、まだ話は…』


『後で聞くわ』


呼び止めようとしたリーフの言葉を遮って、フィリアはバルドと一緒に森の奥に入っていった。



後に残された例の三人―――フィリアの言うところの狸オヤジ達は、いそいそと城に戻ろうとしている。


その三人を制止して、リーフは笑顔で言った。


『話があるから、執務室に行こうか』



三人は、逃げられない事を悟った。