聞けーと陸玖は怒っている。
あー、毎日のことだけどめんどくさいな、陸玖は。
諦めた私は、和英辞書を閉じてシャーペンを筆箱にしまった。
そして椅子からおりて、陸玖の隣に座る。
「はいはい、聞くから。手短にすませて下さいね?」
私が陸玖に笑うと、陸玖はやっと笑った。
まったく、まだまだ子供だな。
お兄ちゃんじゃなくて弟みたいだもん。
「今日の奴はな、絶対海美も気に入る」
「…どんな人?」
陸玖は私が男の人が苦手ってことをちゃんと知ってる。
そのうえで、陸玖は私には男の人を紹介してくるんだ。
兄心ってやつだ!って陸玖は言うけど、正直かなり迷惑。
だけど陸玖は男の人を苦手意識もって欲しくないって考えてくれてるから。
だから、その気持ちが嬉しい。
だから嫌な顔しつつも、ちゃんと聞く。
その優しさに、答えれる日は来ないと思うけど。

