「海美は好きな人作る気もないの?」
「好きな人…?」
好き、ってなんなのかな?
「ね、里子」
「ん?なに?」
里子がビューラーをしているときに突然だけど聞いてみた。
「……好きってなにかな?」
「いった!!」
私の質問が本当にびっくりしたのか、里子はビューラーでまぶたをはさんだみたい。
「ごめん、大丈夫?」
「海美が変なこと言うから。」
だって、わかんないんだもん。
「海美ってまさか、初恋もまだの貴重ガールなの?」
「貴重ガールかは知らないけど、多分初恋もまだ、です。」
その言葉にまた、里子はびっくりしているみたいだ。
「だから、教えて欲しいの。」
里子がメイクをやめて、私の目を見て話をしてくれた。
「一緒にいたくて、心がドキドキして、あったかくなって、優しくなれて、無意識に笑顔になる相手。」
なんか、あてはまってる人、いるかも。
「そんな人に出会えたら、それは恋してるって言ってもいいと思う。」
その日は、1日中里子の恋愛についての話を聞いていた。

