満月の銀色ススキ

望月は数歩分だけ青年と距離を取る。

手を後ろで組み、前を向く。
様子を見ていた青年のお面と視線がぶつかった。


「じゃあ、貴方には触れません」


「…」


「そうそう。私、望月って言うんです。希望の望にお月様の月でミツキ」


「………はぁ…」


急に話題を変え、名を名乗った望月に青年はただ間抜けた声を出した。
それに望月は気にする様子もなく首を傾ける。


「貴方とお友達になりたいので、貴方に名前を教えてもらうことは出来ますか?」


青年は少々の時間、動くことをしなかった。
その間も、望月はにこにこと微笑んだまま答えを待つ。

青年はやがて、頭を掻きながら「ススキ」と名乗った。