満月の銀色ススキ



「例えば、どうしてお面してるのか。…とか」


その問いにススキはお面をまた直す。
もう何度目だろうかと望月は思った。

いつの間にか、歩みが止まっていた。

ススキが一つ前に出ると、小さく、でもよく通る声が聞こえる。


「…人間除け」


「えぇ?何それ」


思わず吹き出した。
人間除け、だなんて突飛な答えが返るとは思わなかった。

再び歩きながらの会話が続く。


「あはは。私も人間だけど?」


「うん、そうだね」


あっさりと、ススキは肯定だけした。


「ススキさんだって人間でしょ?」


軽い調子で望月は笑った。

ススキが立ち止まる。
それに合わせて、望月も止まった。