俺はその笑顔を目にして

ドクン、ドクン……と、またもや意味不明な心臓の音が鳴りだした。

(だからなんでドキドキしてんだよッ!!)

俺は自分にツッコミをいれた。

ーガラガラガラ…

ドアが開き看護婦さんが部屋に入ってきた。

「玲ちゃん~検査の時間よ~!」

「は~い!!」

「あら?あなたは??」

看護婦さんは俺の存在に気づき、さぞかし怪しい…。と思うように見てくる…。

「あ!俺は友人の部屋と間違えてこの子に部屋に入ってきてしまったんです」

「…あらそうなんですか?これからは間違えないでくださいね。」

(う…。まだなんか怪しいってカンジで見てくる…・)

「さ、行きましょ!玲ちゃん!!」

「うん。お兄ちゃんまた明日ねッ!

玲、待ってるからねッ!!」

玲ちゃんは俺と別れを告げ検査に行った。

(あ~!早く玲ちゃんに会いたいな~!!)

今、別れた相手だというのにすぐにこんな事を思ってしまった。

その日の俺は楽しみのあまり政史の病室へ行くことを忘れ、家に帰ってしまっていたのだ…。

我ながら馬鹿だと思った…。