嫌よ嫌よも好きのうち

「宇ー野ーくん!」

「っ!」


いきなり現れた私が宇野くんに抱きついている。
そんな光景なのだから宇野くんは予想以上に驚いていた。


「やめろ。手離せ。」


相変わらず冷たい宇野くんは私の手を無理矢理離すと“着いてくんな”と言った。その時の宇野くんの目が睨んでた様にも思えた。


「宇野くん、冷たいよー。もっとフレンドリーに!ね?」

「うるさい。お前なんかにフレンドリーに接するか。」


本当に一言一言、胸に突き刺さる言葉を言うなぁ、宇野くんは。
でも、そんなに酷くされても宇野くんの事は諦めてあげないよ?

初めて見た時にざわめいた心臓。
初めて見た時に熱くなった体。
初めて見て時に私のものにしたいと思った独占欲。
こんな感情にしてくれた宇野くんだもん。


「ねぇねぇ、今から国語だよ?教室戻ろうよ。」

「うるさい。自分で戻るから。」

「一緒に戻ろうよ!」

「1人で戻れ。」

「なら宇野くんが戻るまで戻らない!」


そんな事を口にした私を見て宇野くんは思いっきり大きな溜息をついた。

宇野くんのそんな表情も好きだよ。って言ったら宇野くんはきっと怒るでしょう?
誰にも溜息をついている所とか宇野くんは見せないんだもん。
それって特別な気がするんだもん。


「本当になんなの、お前。」


なんなの?って聞かれたら答える言葉はただ1つ。


「宇野くんが好きなんだもん!好きだからこうして宇野くんと一緒にいたいの。」


自信満々に答えた私に“またかよ”という表情を浮かべる宇野くん。
ねぇ、宇野くん何度でも言ってあげるよ?
何度でも愛を君に伝えてあげる。

だって私は宇野くんが好きなんだもん。