化粧をしていると、部屋に携帯の着信音が鳴り響く。

それを鳴らすのは、携帯の画面を見なくても誰だか分かる。

私はマスカラ片手に左手で携帯を耳に当てた。

「はいはーい。」

電話の相手は親友のユミ。

今から飲みに行く事になっている。

恐らく今から家を出ると言う連絡だろう。

『今から行くけど、大丈夫?』

「良いよ。オッケー。」

短い通話を終えると、私は化粧の続きを急いだ。

時刻は18時45分。

19時にはなんとか間に合いそうだ。

予想通り、19時少し前に化粧を終えた私の部屋を訪れるユミ。

バッグを掴み携帯と財布それからキーケースをその中に放り込み、私は玄関へ向かった。