六等星は夜空に輝く星で、小さな光を持っていましたが、その光は地上の私たちからは見えません。
 私たちの目に見えるのは、一等星、もしくは二等星くらいまでの光です。
 それでも、六等星は輝いていないわけでも、存在していないわけでもないのです。
 北の夜空に輝く幾億の星のただ一つ、六等星と呼ばれるその星は、今日もひそやかに輝いておりました。
 そのそばでは、五等星、四等星、三等星と呼ばれる仲間がそれぞれの持って生まれた強さで輝いており、夜空の天幕を完成させておりました。

 はるか遠くの方に、二等星や一等星と呼ばれる大きく強く輝く星があります。
 それは遠くにある六等星はおろか、地上に住む生き物たちからも肉眼で見えるほどの光を放っていました。
 彼らのなかには人間から名前を与えられたものもいて、それぞれが、人間たちの願いや希望を聞き届けていたのです。

 ですが六等星は天空の中でも小さく輝く星で、他とくらべますとどうしても見つけにくいものです。地上からはとうてい見ることのできない星でした。あるいは、六等星という星があることさえ気付かれていないのかも知れませんでした。それがいつも六等星には悩ましいのでした。