「姉貴は、さ」



花びらじゃないからね。



俺の言葉に、春は首をかしげた。



花びらに、感情はない。

花びらを、ずっと、ずっと大切にしたいなんて思わない。



「姉貴は、桜の花びらみたいに儚くて、簡単に俺たちの前から消えちゃったけどさ・・・・・・感情を持ってるだろ」

「え?」

「辛いと涙を流す。追い込まれれば、どんどん弱弱しくなる。俺もう、姉貴のこと泣かせたくないんだよ。だから、だから・・・・・・」



すりぬけないように、しっかりと



そんな思いを込めるように、俺は、春の手を強く握りなおした。