春は立ち尽くし、俺は静まり返った店内を、ゆっくりと見回した。


皆がみな、俺たちに白い目を向けている。

逸らさずには、いられなかった。



「春」



蚊の鳴くような声で彼女の名を呼んだ。



「行こう・・・・・・?」



春を見つめて、彼女の腕をつかんで、伝票を取り上げた。


レジに向かう俺の手を、春は弱く握ってきた。