「・・・・・・逃げてきたの、追われてるの、今」 姉貴は、皮肉な人生を送っていた。 昔俺にしていたことを、自分がされた。 何倍も、何十倍もひどかったけれど。 姉貴の、寒気を感じる位淡々とした妙な話し方が、生々しさを俺と春に与えていた。 「やっとね、ここに帰って来れたの。でも、すぐに、見つかるわ。きっと」 「どうするの?姉貴、行くところは・・・・・・」 「ないわ。捕まるしか、ないの。無駄足、だったのかも、ね」