「もし、もし?」

「悠? 私、わかる? 那緒」



まさか、本当に。


探し相手の声が、耳元で聞こえた。



「わかる、わかるよ……! なぁ、今どこにっ……」

「わからないのよ。ねぇ悠私を捜して」

「……は?」



姉貴の声は、ひどく焦っているように聞こえた。

捜して、なんて、何があったのだろうか。


隣の春も聞こえたのか、不安そうに俺を見てくる。



「姉貴、捜してって、どういうこと?」

「自分勝手だってわかってる。正直あなたや春ちゃんに迷惑はかけたくないし、これ以上関わらない方がいいと思ってる。けど……」



姉貴の言葉は一度切れて、なにか言葉を探しているように、息遣いだけが聞こえてくる。



そしてふと、姉貴はいった。





「もう、悠と春ちゃんだけなの」