レストランの中庭に飛び出した。

ひんやりとした夜風が、頬を撫でる。



「悠、あんなこと親の前で言ったら、変に思われちゃうでしょ」


姉貴の困ったような声が後ろから聞こえた。

恐る恐る、振り返る。


「だめよ、ちゃんと仮面をしていなきゃ。……私みたいにね」


にっこり笑った姉貴の顔が、一瞬仮面のはがれた醜い魔女のように見えた。


「私と悠は、似ているんだよ、きっと。私たちは同じように、仮面で真実を隠しているんだもの」

「……同じ、ように……」



そうか、俺は姉貴と同じことをしているのか



姉貴の言葉に、妙に納得してしまった。

胸の中に広がる、自分への嫌悪感。