「愛」



私は本名を北斗に言った。




何故言ったのかわからない。


なんて答えるか、考えるのも面倒だったのかもしれない。




「ふーん……」


北斗は、聞いておきながら興味なさそうに呟いた。


「でも…」


“里緒菜”って呼んでくれたらいいから、と私が言う前に、


「里緒菜さぁ……」


と、北斗が私の名前を口にした。



そして、


「オレも“あんた”じゃなくて“北斗”なんだけど?」


そう言って北斗は笑った。