「なんで?」

「は!?」

「だって弟は海くんでしょ!?」


この部屋が北斗の部屋だということはわかったけど、どうして麻衣の家に北斗がいるのかわからず、またパニックになった。


「あぁ、あんたも弟?双子とか?」

「……」

「いや…、顔似てないもんね…」


北斗の顔を見上げながら呟いていると、


「面倒くせぇ…」


と、あくびをしながらも簡単に説明してくれた。


海くんと北斗は同級生で、保育園の時から友達らしい。


その頃から母親同士が仲良くなり、家族ぐるみで交流していたそうだ。


けど、北斗が中学生になってすぐ、母親が病気で亡くなってしまった。


母子家庭で育ち、身寄りがなかった北斗。


そんな北斗を麻衣の両親が引き取り、それ以来この家でお世話になっているということだった。



「もういい?眠ぃんだけど」

「あぁ…そう…。寝たほうがいいよ」


話を聞いて納得した私は、頷いてそう答えた。


「お姉さん、一緒に寝んの?」


北斗は私の顔を覗き込んで、


「ここ、オレのベッドなんだよね?」


と、意地悪そうな顔をして笑った。


「あ!あぁ…。ごめん!」


私は慌ててベッドから降りて、「ごめんね」ともう一度謝った。


「お姉さん、おもしれぇ…」

そんな私をからかうように北斗は笑うと、


「おやすみぃ」


と言ってベッドに潜った。