「あ、里緒菜さん。ホントすみませんでした…」

「ううん。麻衣って弟いたんだ…。海くん、かわいいじゃん」

「全然!生意気だし!でも…、海も北斗も、何故かモテるんですよね…」

「そうなんだ…。将来、ホストにしたら?」

「えぇー!?無理ですよ!あんな昭和なことしてるヤツらには…」

「確かに…」


私達は笑いながら窓の外を見た。


キラキラ光るライトの列。


「何が楽しいんだか…」


麻衣がため息混じりに言う。


外をぼんやり見ながら、私はさっき言われた言葉を思い出していた。




『それって楽しいの?』



愛人って答えた私に驚きもせず、冗談だと笑いもせず、むしろ真剣な目でそう言った。


どういう意味でそう言ったのか考えたけどわからなかった。


何も考えずにそう言ったのかもしれない。



気になって食事の手が止まった私に、


「どうしたんですか?」


と、麻衣が心配そうに聞くので


「やっぱり、あっさりした物にしておくべきだった」


私は笑って答えた。