支えを失った弟は、ばふんとソファーにつっぷす。


「つまらん…」


あたしはそう呟くとソファーから立ち上がり、再び自室に戻ろうとした。


「…手紙が結構効くみたいだよ」


あたしの背中に向かって弟がぽつんとつぶやいた。


その声に思わず後ろを振り向いてみたが、弟は、あいも変わらず時代劇をじっと見つめて居た。


「サンキュ…」


小さい頃から優しい奴だとは思っていたけど、変わらんな。


テレビの時代劇は人情話のハイライト。


弟はじっとテレビを見詰めて居る。そして小刻みに震える弟の肩…あのな、優しい奴なのは分かるが、泣くな弟よ、こんな強引な話で。