「野郎…逃げやがったな…」


あたしは、爺の策略だと直感的に思った。


無駄に惰眠を貪っていても時間の無駄だ、あたしは、よっこいしょと言う感じでベッドから起き上がるとのたくたと一階のリビングに向かって下りて行った。

         ★

「この紋所が目に入らぬか―――」


テレビのドラマはクライマックスを迎えて居た。


弟はソファーに座ったまま、その場面に釘付けだった。


なんで、こう、じじむさいんだこいつは。


そう思うと何となく、いつものお約束で、うりゃっとヘッドロックなど仕掛けて見る。


「あ~う~う~」


弟は妙な唸り声を上げる。あたしはそんな事構わず締め上げる。