「…え、ええ、まぁ、そういう事も有るかも知れません。でも、根性さえあればきっと大丈夫です」


あたしは椅子からすいっと立ち上がると、鞄に荷物を詰め込んで、とっとと帰る準備を始めた。


こんな危険な実験に付き合う位なら、弟と『水〇黄門』の再放送を見て強引なストーリー回しや落ちに、文句たらたら言ってた方がマシだ。


「じゃ、そういう事で」


と、幸に声をかけ、しゅたっと右手を上げて挨拶すると教室から出て行こうとした。


しかし、今日の幸は強引だった。


あたしの制服の襟を掴むと、教室から出かけた、あたしを椅子に座らせ、紀美代にしっかりと抑え込ませると、例によって、あたしの額にケーブルを、ぺたぺたと貼り付け始めた。


「ちょっ、ちょっと待て幸、まだ心の準備と言うかなんというか…」


「行きますよ」


幸の声が遠くで聞えたとおった瞬間、あたしの精神は肉体を離れて、遥か天空に向かって上りだした。