あたしは反射的に、そいつを奪い取ると、力の限り床に叩きつけた。


その衝撃で、そいつは、バラバラに壊れ、完全に使用不能の状態になった。


しかし、幸はポケットの中を、ごそごそと探ると、同じものを取り出してあたしに向かって差し出した。


「貴子さん、安心して下さい、もう一個有ります」


あたしはへなへなと崩れ落ちた。


ここ最近このパターンだ。


幸はあたしの思考を読む様になっていた。