若様も、紀美代と何やらにこやかに話しているではないか。


「いやぁ、紀美代さん、優しくて可憐で、良い人ですねぇ」と、右手で後頭部をぽりぽりと掻きながら少し照れた表情であたしに向かって視線をよこした。


「わ、若様迄、そんなぁあ…」


あたしは少し裏切られた気分を感じながら若様に縋り付き複雑な表情で端正な顔を見上げると小さな声で呟いた。


それと同時に爺と若様の姿は、一瞬テレビの砂嵐の様なノイズに包まれてその後、すっと、姿が消えた。

「幸、何…」


あたしは幸に視線をやると、幸は、くだんの幽霊探知機改良版をじっと見つめていた。


「どうやら故障した様です」


幸はあたしに向かって、珍しく少し悔しそうな表情で答えた。