爺に促されて、あたしは、おっかなびっくりひれ伏した頭を、そろそろと上げる。


そこにはやっぱり、偉そうな爺が玉座に座ってあたしを見詰めている。


「あの、爺…いえ、御爺様、あなた様はいったい、どの様な御身分のお方で御座いましょうか」


あたしの質問に爺は再び「かっかっか」と笑うとゆっくりと立ち上がり。


「なに、気にする事は無い。わしは少しお節介い焼きの旅の隠居じゃ」


おい、旅してたのか爺…と、突っ込みを入れたい処を、ぐっとこらえてあたしは爺に向かって再び、へへ――っとひれ伏す。