「さ、参りましょう」


あたしは、若様の手に引かれて夜の空に飛び出した。


家の壁をすり抜けて、外に出たにも拘らず不思議と寒さは感じなかった。


やっぱり幽体になってしまうと、暑さや寒さは関係ないのだろうか?その割には、しっかりパジャマ着てるな、どういう事じゃろうか。


「ね…月の館って?」


あたしは若様に訪ねてみた。


「はい、言葉通りの場所です。あの月に建てられた館の事です」


「…月に…ねぇ」